普段は制度や法律の解説をしているので、かなり教科書的な文体で記事を掲載していますが、今回は少しテイストを変えて、私自身が受けた試験の振り返りを書きます。
2026年10月30日・31日に、中小企業大学校 東京校で「中小企業経営改善計画策定支援研修(実践研修)」を受講し、最終日にそのまま「実践力判定試験」を受験してきました。もしかしたら、この試験を不安に思っている人がいるかもしれません。それと、出題内容を高額で販売している人がいる、という話も教室で他の受講生の方たちが会話しているのを耳にしました。少しでも効率よく勉強して、落ち着いた気持ちで試験に臨める人が増えればという思いから、思い出せる範囲で出題の形式と論点をまとめておきます。
なお、問題用紙は試験後に回収されたため、手元に問題は残っていません。以下はすべて私の記憶に基づくもので、具体的な数値や問題文は載せていません。この記事を書いている時点では、合否の通知もまだ届いていません。
実践力判定試験とは
認定経営革新等支援機関(以下「認定支援機関」)とは、税務・金融・企業財務の専門知識と、中小企業を支援した実務経験が一定以上あると国が認めた個人・法人のことです。国の支援制度の中には、経営改善計画策定支援事業のように、認定支援機関が計画づくりに関わることを利用の条件にしているものがあります。
公認会計士や税理士は、資格によって専門知識の要件を満たします。一方で、実務経験の要件は開業したばかりだと満たせないことがあります。その場合に、中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施する2日間の実践研修を修了し、最終日の実践力判定試験に合格することで、実務経験の代わりとすることができます。私もこのルートで受験しました。
中小機構の募集要項では、この試験は「中小企業管理会計の導入を前提とした経営状況の把握と、経営方針、利益計画、資金計画の策定とそのアクションプランの策定等」を支援するために必要な能力・指導力を確認するもの、と説明されています。
試験の形式
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題形式 | 選択問題と計算問題(別紙の計算問題は計算過程も記入) |
| 配布物 | 問題用紙(本紙・別紙の2部)と解答用紙の計3部 |
| 制限時間 | 90分 |
| 合否の通知 | 後日、郵送で届きます |
出題内容① 選択問題と◯✕問題
選択問題は、大きく2つのタイプがありました。
- 用語の穴埋め:マーケティングや環境分析の手法の名称と、その構成要素の名称(STP、5F分析)。それから、金融機関の債務者区分(正常先、要注意先など)
- 肢の組み合わせを選ぶ問題:4つの肢を「資金改善のアクションプラン」と「利益改善のアクションプラン」に分類する場合の、正しい組み合わせを選ぶ問題(2つずつに分かれる組み合わせでした)
◯✕問題は、各肢の◯✕を解答用紙に記入する形式でした。資金繰り改善の施策として、5肢くらいの◯✕を判定させられたような気がします。
出題内容② 計算問題(本紙)
本紙に掲載されている設問です。個別問題形式で、その大問・小問で論点が完結しています。答えだけを書く短答式(計算過程は書かない)で、出題は次の2つでした。
売上改善計画の反映
ある項目別(部門別だったかもしれません)の売上・売上原価の一覧表が与えられ、売上改善計画を反映した場合の目標売上高や目標利益率を答えさせる問題でした。売上改善計画としていくつかの条件が与えられ、それを全て反映させて計算する形です。文章を穴埋めする形式だったので、読みながらその手順で計算していけば解けました。
余裕資金の返済配分
自己資金のうち債務の圧縮に使える余裕分を、複数の銀行への借入金にどう使うのがよいかを検討させる問題でした。金利負担を考えた場合と資金繰りを考えた場合のそれぞれで、どの借入金に集中して返済するのがよいかが問われました。あわせて、プロラタ返済の場合の計算もありました。
出題内容③ 計算問題(別紙の財務データ)
別紙の財務データ(進行期・計画期の複数年分の資料)を使って解く問題です。財務データ同士は当然つながっているので、設問によっては複数の資料を行ったり来たりしながら答えを作る必要があります。こちらは金額を答えるだけでなく、計算過程も解答用紙に書く必要がありました。この試験の山場と言える部分です。
8問くらいあったような気がします。若干順番の前後があるはずですが、概ね以下の流れでした。
- 実態BSの作成:最終的な純資産の部の金額を答えさせる問題でした。簿記の知識と、貸借一致の原則がしっかり腹落ちしていると、自信を持って解答できます。
- 損益分岐点売上高の算定:その過程で、固定費は自分で資料から拾い、限界利益率も自分で出す必要がある問題でした。
- キャッシュフロー計算書の作成:営業キャッシュフローの欄の金額を答えさせる問題でした。キャッシュフロー計算書の作成が曖昧な人でも、この問題の場合は複数期のキャッシュフロー計算書が並んでいて、解答を求められている会計期間以外は金額が全て記載されていました。それを追って計算手順を推測すれば、解答できる可能性があったと思います。
- 債務償還年数の計算
- FCFの計算
- 売掛債権回転日数の計算
- 目標経常利益率を達成するための目標売上高の算定:目標利益率は問題文で与えられ、限界利益率と固定費は自分で資料から拾う必要がありました。
- 繰越欠損金の処理と法人税の計算:別紙の財務データには繰越欠損金が計上されていますが、問題文で「◯期の繰越欠損金が◯千円だったら」という条件が与えられ、その金額で計算するという典型問題です。
私だったらこう勉強します
というか、最低限これだけやりました。普段から使っているAIエージェント(Claude Code)に、以下を指示しました。本当はもっと色々細かい指示が入ったりすると思いますが、みなさんそれぞれお使いの専用AIエージェントが育っていると思うので、プロンプトの細かい話は割愛します。
- これまでの出題実績を、拾える範囲で調査させます
- 研修で配布されたファイルを読ませます
- ミニマムの予想問題テキストを作らせます(情報量はなるべく絞ります)
- 計算問題は、電卓を一回叩いておきます
作成から勉強終了まで、30分〜1時間くらいだったかなと思います。時間をどのくらいかけるのかは、各人のご状況に合わせてください。
まとめ
最後に、試験全体の感想です。問題文をよく読むと、かなりヒントが載っていました。資格予備校の答練で出されるような、とても意地悪なダミー資料などはないので、素直に読んで素直に答えれば大丈夫です。資格予備校的に言うと、テキストの例題レベルです。山場は別紙の財務データを使った計算問題で、実態BS、損益分岐点売上高、キャッシュフロー計算書、債務償還年数などが問われました。
時間については、私が受けた回は90分で十分解ける分量でした。私は45分くらいで全部解き終わり、途中退室しました。私よりも早く出られていた方も数名いらっしゃいました。ただし、時間が足りなかった回も過去にあったようなので、私の所要時間は信用しすぎないでください。
次回の試験日程は、中小機構の各校のページで公開されています。たとえば東京校は、2026年11月に確認した時点で、次回の研修が2027年2月19日・20日(試験は20日)で、研修の募集期間は2026年11月24日から2027年1月18日まで、研修を修了済みで試験だけを受ける場合の申込期限は2027年1月22日となっていました(中小企業大学校 東京校「経営改善計画策定に関する実践研修」)。日程や申込方法は校ごと・回ごとに変わるため、受験を考えている方は必ず最新の募集要項を確認してください。
