創業融資の審査で見られるポイント


日本政策金融公庫の創業融資を利用しようと考えたとき、「審査で何を見られるのか分からない」という方は多いのではないでしょうか。今回は、公庫が公式に案内している準備事項と、私自身が創業融資を申請した経験から見えてきた審査の視点をご紹介します。

公庫が案内している準備

創業融資を申し込む際には、必ず「創業計画書」という書類を提出します。創業計画書とは、これから始める事業の内容・売上の見込み・資金の使いみち等をまとめた書類のことです。日本政策金融公庫の公式サイトでは、記入例とともに見直しのポイントを紹介する「創業計画書セルフチェックリスト」が提供されており、申込前のブラッシュアップに活用できます。

審査の過程では面談も行われます。公式サイトによると、面談では資金の使いみちや事業の状況(計画)についての質問があり、営業状況(計画)や資産・負債が分かる書類の準備が求められます。また、店舗や事務所を実際に訪ねる「実地調査」が行われることもあります。初めて公庫を利用する場合は、申込前の事前相談も用意されているため、気になる点は先に相談しておくと安心です。

審査で見られる3つの視点

日本政策金融公庫は、審査の具体的な基準や配点を公表していません。ただ、実際に創業融資を申請してみると、審査では大きく3つの視点で見られていると感じました。

視点主に確認される内容
定性面これまでの経歴と、これから始める事業との親和性。事業として成り立つ見込みの固さ
許認可業種によって必要となる許認可(飲食店営業許可等)の有無。設備を導入した後でないと取得できない許認可の場合、取得のタイミングについて公庫に相談できることもある
定量面創業計画書の資金計画がどれだけ作り込まれているか。自己資金(創業のために自分で用意した元手となる資金のこと)が融資希望額に対してどの程度の割合になっているか

特に自己資金の割合は、資金計画の実現性を判断する材料の一つになっています。私自身、面談では、自己資金が融資希望額に対して3〜4割程度確保できているかが一つの基準になると説明を受けました。

個人事業主ならではの確認事項

法人と異なり、個人事業主の場合は事業の収益から生活費も支出することになります。そのため、事業計画だけでなく、家計の状況や個人信用情報(クレジットカードやローンの支払い状況等、個人の信用取引に関する情報のこと)も確認の対象になります。同居する家族の状況について聞かれることもあります。

これは、将来の事業計画がどれだけしっかり作り込まれていても、「今の生活の足元が安定しているか」という視点も同時に見られている、ということだと理解しています。なお、創業融資はあくまで事業資金のための借入であり、生活費の不足分を賄うためのものではありません。開業後の生活費については、融資とは別に、自己資金や当面の収入の見通しとして準備しておく必要があります。

準備を進める上でのポイント

審査の具体的な基準や配点は公表されていないため、「これを満たせば必ず通る」という正解はありません。ですが、誰でも取り組める準備はあります。

  • 公式のセルフチェックリストを使って、創業計画書の内容を見直しておく
  • 資金の使いみちや事業の状況を、資料を見なくても自分の言葉で説明できるようにしておく
  • 気になる点は、申込前の事前相談を利用して早めに確認しておく

特に、資金の使いみちや事業の状況を自分の言葉で説明できるようにしておくことは、面談本番でも役立ちます。書類の内容を丸暗記するというより、「なぜこの事業を始めるのか」「なぜこの金額が必要なのか」を、自分自身が納得できる形で整理しておくことが、結果的に審査での説明のしやすさにつながります。

まとめ

創業融資の審査では、創業計画書に書かれた内容の実現性(定性面・許認可・定量面)に加えて、個人事業主の場合は家計や個人信用情報といった足元の状況も見られます。公式のセルフチェックリストや事前相談といった公庫が用意している仕組みを活用しながら、資金計画を具体的に詰めていくことが、審査に向けた準備の第一歩になります。


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