インボイス発行事業者に登録した、あるいは売上が伸びて課税事業者になったことで、初めて消費税の確定申告を迎える方へ向けて、申告・納付の時期と具体的なやり方をご紹介します。所得税の確定申告と時期が違うため、うっかり見落としやすいポイントです。
消費税の確定申告・納付期限
消費税の確定申告・納付は、原則としてその課税期間の終了の翌日から2か月以内に行うことになっています。これは法人・個人事業者に共通する原則で、個人事業者の課税期間は1月1日から12月31日までの1年間のため、原則どおりであれば翌年2月末が期限になります。しかし個人事業者については、租税特別措置法の特例により、この期限が翌年3月31日まで延長されています。
根拠条文|租税特別措置法第86条の4第1項(個人事業者の消費税の確定申告に係る申告期限の特例)
要旨:個人事業者の12月31日を含む課税期間の消費税確定申告書の提出期限は、原則の「2か月以内」ではなく、翌年3月31日とする特例です。
消費税法第二条第一項第三号に規定する個人事業者(同法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される者を除く。)のその年の十二月三十一日の属する課税期間(同法第十九条に規定する課税期間をいう。次条及び第八十六条の六において同じ。)に係る同法第四十五条第一項の規定による申告書(同条第二項の規定により提出すべき申告書を除く。)の提出期限は、同条第一項の規定にかかわらず、その年の翌年三月三十一日とする。
個人事業者の消費税の確定申告・納付期限は、原則として翌年の3月31日です。ここで注意したいのが、所得税の確定申告期限(3月15日)とは日付が異なるという点です。「所得税の確定申告を済ませたから、税務署への手続きはもう終わった」と思い込んでしまうと、消費税の申告を見落としてしまうことがあります。所得税と消費税は別々の税金として、それぞれ申告・納付する必要があります。
なお、申告期限が土曜・日曜・祝日にあたる場合は、その翌開庁日が期限になります。年によって具体的な曜日が変わるため、期限が近づいたら国税庁のホームページ等で当年の正確な日付を確認しておくと安心です。
申告方法
消費税の確定申告書は、次のいずれかの方法で提出します。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、e-Taxで電子申告する
- 作成した申告書を印刷して、納税地を所轄する税務署の窓口へ持参する
- 作成した申告書を印刷して、税務署へ郵送する
e-Taxであれば24時間いつでも提出でき、税務署に出向く手間もかからないため、パソコンやスマホでの手続きに抵抗がなければe-Taxが便利です。
なお、簡易課税制度(納める消費税額を、実際の仕入税額を集計せずに売上をもとに簡易的な方法で計算できる制度のことです)を選択している場合も、申告・納付の期限や提出先といった手続き自体は変わりません。変わるのは消費税額の計算方法だけです。本則課税との違いは消費税の本則課税と簡易課税、その違いについてで詳しくご紹介しています。
納付方法
消費税の納付方法にはいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を一覧にまとめました。
| 納付方法 | 内容 |
|---|---|
| 振替納税 | 事前に届出をした預貯金口座から、指定された振替日に自動で引き落とされる方法 |
| ダイレクト納付・インターネットバンキング | e-Taxを通じて口座振替や電子納税を行う方法。事前の届出が必要 |
| クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて納付。納付可能額は1,000万円未満(別途決済手数料がかかる) |
| スマホ決済・コンビニ納付(QRコード) | 納付税額が30万円以下の場合に利用できる方法 |
| 金融機関・税務署の窓口 | 従来どおり、納付書を使って窓口で納付する方法 |
振替納税を選んでおくと、毎年の納付日を意識しなくても自動的に引き落とされるため、うっかり納付を忘れるリスクを減らせます。一度届出をしておけば翌年以降も継続して使えるので、初めて消費税を納める方には扱いやすい方法です。振替納税を利用するには、納期限までに税務署または金融機関へ振替依頼書を提出する必要があります。所得税と消費税は別税目のため、所得税の振替納税をすでに利用している場合でも、消費税については別途、振替依頼書の提出が必要です。
なお、申告・納付が期限に間に合わなかった場合は、延滞税(=期限を過ぎた日数に応じてかかる、利息のような性質の税金のことです)が発生することがあります。忙しい時期と重なりやすいタイミングでもあるため、早めに準備を進めておきましょう。
所得税の確定申告との違い
所得税の確定申告と消費税の確定申告は、どちらも「確定申告」という名前がついていますが、別々の税金の手続きです。混同しやすいポイントを一覧にまとめました。
| 項目 | 所得税の確定申告 | 消費税の確定申告 |
|---|---|---|
| 申告・納付期限 | 翌年3月15日 | 翌年3月31日 |
| 対象になる人 | 一定の所得がある人(給与所得者を含む) | 課税事業者(免税事業者は対象外) |
| 申告書 | 所得税の確定申告書 | 消費税及び地方消費税の確定申告書(所得税とは別の書類) |
e-Taxで申告する場合も、所得税と消費税は別々の申告書として作成し、それぞれ送信する必要があります。「所得税の申告データを送信したから消費税も終わっている」という状態にはならないため、両方の申告が完了しているか、送信履歴で必ず確認してください。
中間申告について
前年の確定消費税額が48万円を超える場合、年の途中で「中間申告」の提出・納付が義務付けられます。金額の区分に応じて、年1回・年3回・年11回のいずれかの頻度で中間申告・納付を行う仕組みです。創業したばかりで消費税額がまだ小さいうちは対象にならないことが多いですが、事業が軌道に乗って納税額が増えてきたら、前年の確定消費税額が48万円を超えていないか必ず確認してください。
まとめ
消費税の確定申告・納付期限は、所得税とは異なり原則として翌年3月31日です。申告はe-Tax・窓口持参・郵送のいずれかで、納付は振替納税をはじめ複数の方法から選べます。所得税の申告を済ませて安心してしまわないよう、消費税の申告・納付も忘れずに済ませてください。
